おはこんばんちは、コーシュカです。
早くもやってまいりました、『めくるめく猫の世界へようこそ』。
前回の「めくるめく猫の世界へようこそ。第1回〜猫の世界史〜」では猫の切なくも偉大な世界史をお送りしましたが、今回のお話は私たちの住むこの日本が舞台です。
近年、日本でのテレビCMでは犬よりも猫を見かける機会が増えてきました。動物のバラエティー番組でも猫の特集を見ない週はありませんよね。動画サイトでも猫動画は常に人気で、日本の猫ブームは今までにない盛り上がりを見せています。
そんな猫がこの国でどのように人間と関わってきたのか、どうやって今現在の人気を確立するまでになったのか、その歴史を掘り下げていきたいと思います。
それでは、はじまりはじまり〜
もくじ
いつ、どこから日本にやってきたの?
実はそれ、詳しくはわかってません。
オイオイ、出だしからやっちまったな!
前回、猫はヨーロッパからシルクロードを通じてアジア圏内にまで広がったとお伝えしましたが、その後中国を経由して日本にやってきたとされ、飛鳥時代(592~710年)には既に日本に存在していたのではないかと今まで推測されていたのですが…
2011年に長崎県にあるカラカミ遺跡で今から2,100年前頃(弥生時代)の猫の骨が発掘され、実は飛鳥時代よりもっと前にやってきたのでは?とも考えられています。中国大陸から稲作文化とともに猫も(ついでに笑)伝わったと考えるのが妥当かと。
ただ、中国に猫が伝わったのは今から2,000年前頃と言われているので、だとすると中国よりも先に日本にやってきた可能性も全くゼロではありませんよね。そうすると今までの経路が白紙にはなってしまいますが…汗
いやー、実に謎が多い。さすが猫!
・・・・・
(なんかすいません)
てことで、猫がいつ日本にやってきたのかは正確にはわかりませんでしたが(汗)、本格的に輸入され始めたのは天武天皇の時代(680年頃)と言われています。
その頃中国(当時は「唐」)からさまざまな経典が輸入されたのですが、なんと船の中でネズミが紙を食べてしまう被害が多発。経典をネズミから守るために猫を一緒に船に乗せて連れ帰ってきていたようです。
ここでも役に立つお猫さま。
ウチの猫たちにその活躍ぶりを聞かせてやりたいものですな。。
平安時代の天皇ツンデレ黒猫日記
平安時代に入ると、船で連れてこられ「唐猫」と呼ばれたその猫たちは希少だったため主に貴族の間で飼われるようになり、その頃からさまざまな文献に愛玩動物として記されるようになりました。
あれ。わざわざ「唐猫」と呼ぶってことは、ただの「猫(日本猫とかもしかしたらヤマネコかも)」もいたってことよね。
今で例えると「ペットショップやブリーダーから買った血統付きの猫」と「野良猫」の違いみたいな感じだったのかなー
『枕草子』や『源氏物語』のような平安時代を代表する書物にも猫は堂々と登場するのですが、それらの中でも特筆すべきは宇多天皇(867~931年)による『寛平御記』と呼ばれる、日本最古のツンデレ猫日記。
※この方、実は猫好きの間では既に結構有名な人物であります。
これは宇多天皇が父帝の光孝天皇から譲り受け飼っていた黒猫の日記なのですが…その内容がね、もうアレなんです。
ざっくり言うとこんな感じ。↓
- その毛色は類い希で、他のどの猫よりも墨みたいに真っ黒でとっても可愛い。
- 瞳はキラキラしてるし、耳はまっすぐで揺るぎもしない。
- 丸まったら足もしっぽも見えなくなって、まるで黒い宝玉だ。歩くときはひっそりと音も立てず、まるで雲の上をゆく黒龍だ。
- 夜にネズミを捕えるすばしっこさは他の猫より超上手。
・・・ね?
みなさん、おわかりだろうか。。
ウチの猫がこの世で一番かわいい。
はい、一言でまとめるとこうなります。
ただの愛猫自慢の日記やないかーい!
しかし興味深いのがこのあと。
- 私がこの猫を飼い始めて5年になるが、毎朝乳粥を与えて可愛がっている。でもそれはただ、先帝がくれた猫だから大事にしているだけ。
・・・いやいや、待て待て!さっきまであんなに猫のことべた褒めしてもうかわいいなーかわいいなー愛おしいなー言ってた人、急にツーン!笑
「父さんがくれたから可愛がってるだけで、ぼ、僕は別にお前のこと何とも思ってないんだからねっ」と言ってませんかねコレ。
とか言っておきながら、
- 猫に「おまえはきっとわたしのことがわかっているんだよね」と言ってみた。でも猫はためいきをついてこっちを見上げ、なにやら言いたげだったけど話すことはできなかった。
話しかけてる…そして猫と話せないことにちょっとへこんでる。もうなんですかこの人。
猫含めて愛おしいわ!
えー、それではもう一人猫好きなお方、一条天皇(980~1011年)をご紹介。
一条天皇が飼っていた猫の「おとど」は、なんと日本に残る文献の中で最古の猫の名前だそうです。(諸説あり)
「おとど」が出てくるのはあの有名な清少納言の『枕草子』ですが、その中で天皇と皇后は猫の「おとど」を尋常じゃなく愛しており、乳母をつけ世話をさせるだけでは済まず、ついには人間の女性に与える「五位以上の女官」という意味の「命婦」の位を猫に与えていたとのこと。
天皇の権限でもうなんでもありです。職権乱用です。
まあでも、私がもし天皇だったとしても
同じことしますけどね。
このように、天皇のようなどんなにエライ人でも分け隔てなく虜にしてしまう猫の恐ろしさ(超絶可愛さ)たるや…末恐ろしいわ!
・・・あっ、既に末(今の時代)で猫ブームが恐ろしいことになってますよ、天皇さま!
鎌倉・室町・江戸時代のお猫さま
時は進み鎌倉時代。
この時代には、金沢文庫(北条実時が建設した私設図書館)が中国から輸入した仏教の経典をネズミの被害から守っていたと伝えられています。
また鎌倉時代の絵巻物には、自由に外を歩いている猫の様子が記された書物もありますが、紐でつながれ飼われている猫の様子が主にたくさん描かれています。
そして、この頃は猫の繁殖能力がとても低く数がなかなか増えなかったため、猫はそりゃもう貴重な動物として大切に扱われていたそうです。
今の日本じゃ増えすぎて処分されちゃうこともあるって言うのに。。この時代の人が聞いたらさぞびっくりするだろうに。このバチ当たりが!ってキレられるよ絶対、まじで。
そして室町時代。
引き続き貴重な愛玩動物だった猫は、天職「ネズミ退治」の仕事を既に忘れてしまったかのように甘やかされ、鎌倉時代と同じく逃げないように首輪につないで飼われていたようです。
この時代の有名人、豊臣秀吉は猫をとっても可愛がっていて、飼っていたその猫が行方不明となった時には家来に頼んで探させたなんて説もあるほど。
そして秀吉は、「猫は繋がないで放し飼いにしてあげて〜」というお触れを出し、この禁令のおかげでネズミによる被害が劇的に減ったとも言われています。
かの有名な秀吉さんも猫を溺愛してたのね。なんだか一気に親近感わいたわー
さてお次は江戸時代。
この時代になってもまだ猫の数は少なく、引き続き貴重な存在でした。
特に蚕を養殖している農家ではネズミの被害が家計に直結するため、ネズミ退治のできる猫が高額で取引されていました。中には馬の5倍の値段(今でいう数百万円)で取引される猫も!
そしてなかなか本物の猫が手に入らないため、ネズミを駆除するためのお守りとして猫の絵を描いて売り歩く者もいたそうです。現在の「招き猫」が誕生したのもこの江戸時代ですね。
ヨッ!この商売上手!
そんなスーパーレアなお猫さまでしたが、江戸時代後期にはようやく数を増やし一般の庶民にも広がったために、特別扱いされることはなくなっていくのでした。
こうしてやっと私たち庶民にも手が届く存在になったわけですね。
この時代の浮世絵師、歌川国芳もその作品からわかるように無類の猫好きでした。仕事中でも懐に猫を抱いて絵を描いていたとされています。
あ、ちなみに私もたまにお膝に猫乗せながらブログ書いてますがお気になさらずに。
猫の近現代史。超絶猫ブームのはじまり
明治時代、ペスト対策として飼猫が有効だと言う学者の主張を受け、なんと国が猫の飼育を奨励したことでまたしても猫の需要が高まることとなります。
これによって海外から続々と猫が輸入され、猫の価値も上がったわけですが…強力な殺鼠剤がその後すぐに発売され国を挙げての猫推奨週間は終了。
そこから日本でも猫や人間にとって暗黒時代がやってきます。そう、戦争です。
戦時中には食糧難の中で猫を飼う事が非難されるようになり、軍用毛皮のためにと猫狩りも行われました…。食べるものがないので、仕方なく猫を食べる人もいたようです。
・・・・・
その後、日本経済が高度成長を遂げるとともに猫の生活も落ち着いてくるのですが、著しい変化もありました。
それまでは猫は外で放し飼いするのが一般的でしたが、住環境が変化していったこの頃から家猫が増えてきます。猫砂が発売されはじめ、猫まんまではなくキャットフードを買って与えるようになり、避妊去勢手術もするように。
それから幾度かの小規模な猫ブームを経て、今現在。
猫人気、大爆発じゃー!
空前の猫ブームでございます。
今の猫ブームの火付け役はみなさんご存知かと思いますが、あの有名な三毛猫「たま駅長」ですね。この子の経済効果だけでなんと年間11億円と言われるから驚きです。
2012〜2016年の4年間で飼い猫の頭数が30万匹も増えおよそ987万匹となり、その経済効果は2015年で2兆3162億円と試算され、アベノミクスになぞらえ「ネコノミクス」との造語が使われ始めました。
これだけ猫を飼う人が増えた背景には日本の少子化や核家族化とされる説もあるのですが、確かに家族の人数が減るとその分猫が家族の一員として重要視されるのかもしれませんね。
また、犬よりも猫を選ぶようになってきたのには、共働きが増えたことや高齢化が進み、なかなか散歩に行けない、犬のように吠えないので集合住宅でも飼いやすく近隣住民ともトラブルになりにくい、飼育にそれほど手間も費用もかからない、と言うのが挙げられます。
ちなみに私が猫を飼っているのは、可愛いから。その一点張り。
散々理屈こねといて結局それかーい!
こうした需要を受けて、ついに賃貸住宅でも「ペット可」の物件が目立つようになりましたよね。中には猫付きマンションや猫付きシェアハウスなど、夢のような物件も登場してきています。
\オシャンティーな猫家具まで登場/
インテリアに馴染むおしゃれな猫家具5選!猫との生活を楽しもう2月22日の「猫の日」も全国的に認知され始め、様々なイベントが開催されるまでになっています。猫専用のSNSサイトやアプリではウチの猫自慢を繰り広げるしもべたちで盛り上がり、動画サイトでも猫動画の再生回数はうなぎ上りです。
そして2017年からはなんと「ねこ検定」なるものまで登場しました。もうとどまる所を知らない猫ブーム。はてさてどこまで行ってしまうのでしょうか。私たち猫のしもべにとってはウハウハな状況で嬉しいのですが。ウチの猫たちとともにこの先も見守りたいと思います。
さて、2回にわたってお送りしました「猫の歴史」。お楽しみいただけたでしょうか。
日本でもチヤホヤされつつも荒波を乗り越え、酷い目にあっても常に人間に寄り添って暮らしてきた猫。そんな全ての猫たちが愛おしくてたまりません。
完全室内飼いが多数となってきた近年、猫はもうネズミを捕ることはほぼなくなりましたが、おもちゃで私たちと遊んでくれている時にその素早いハンターぶりを垣間見ることができます(猫によるけど)。昔はこれが遊びじゃなく人間のためのれっきとした仕事だったんだな〜と思うと、おもちゃを捕まえた時に「よくやった!」と褒めてあげたくなりますよね。
それでは次回は「猫のからだ」についてお伝えしていきたいと思います。
まだまだ知らなかったことが見つかるかも。
\気になる続きはこちらから/
【猫学】めくるめく猫の世界へようこそ。〜目の不思議・前編〜