みなまで言うな。コーシュカのすべて

子供の頃、仲良しグループのリーダーが死ぬほど嫌いだった件【後編】

子供の頃、仲良しグループのリーダーが死ぬほど嫌いだった件【後編】

これは私の、私による、私のための物語である。

お待たせしました、後編です。

*前回のおさらいはこちらから↓↓↓

子供の頃、仲良しグループのリーダーが死ぬほど嫌いだった件【前編】 子供の頃、仲良しグループのリーダーが死ぬほど嫌いだった件【前編】

※物語という事でいつもとは口調を変えてます。悪しからず。

順番

B美がみんなに謝罪する事で収まったかに見えたグループ内シカト。

本来ならば全く謝る必要が無かったのだけれど。。

でも私もやっとこれでB美とコソコソ会わずに、みんなの前で堂々と話せるとホッとしていた。

だがしかし、事態は思わぬ展開に。

B美が謝罪した次の日、私は朝いつも通りグループの友達に挨拶をした。


私「おはよ〜」

「・・・・・・」

私「あれ?おはよう!」

「・・・・・・」


血の気が引いた。

そう。

次は私の番だった。

原因

なんで?私なんかした??

私は原因を考えた。

B美がシカトされている間にこっそり会っていた事はみんなに言ってない。

B美がA子に言った?

いや、おそらく言わない。

無い頭を振り絞ってたどり着いた答え・・・

それはB美がシカトされている時に「ねえ、なんでB美を無視するの?」とA子に疑問をぶつけたからだ。(前編の「謝罪」より

みんなはそう思ったとしてもA子には言わない。反論しない。

A子はきっとそれが気に食わなかった。

B美が謝罪してきた事で、もうB美をシカトする理由がなくなった。

すぐに収まってしまったB美のシカトに面白くない様子のA子。

そこで次のターゲット探しだ。

B美のシカトの件で口出ししてきた私をロックオンというわけだ。

私はすぐに原因にたどり着いたが、B美の件で私もA子に対して腹に据えかねるものがある。

謝れば一件落着なのだろうが、今回ばかりは絶対に謝りたくない。

そこで私はとある作戦に出た。

その名も「THE・シカト全く気にしてないフリ」

孤独

私はこの頃、いつもヘラヘラしていた。

ヘラヘラしとけば大体のことは波風立たずに過ぎていくからだ。

たまに「何がおかしいの?」と言われる時もあったが、波といえばまあそれくらいだ。

だから、グループ内でシカトされても全く気にしてない風にヘラヘラしとけばそのうち収まるんじゃないか、と密かに期待していた。

グループの子らにはシカトされても普通に話しかける。

そう、気にしてないから。

いつも一緒に帰ってたのに置いていかれてもひとりで鼻歌スキップ。

そう、気にしてないから。

B美は申し訳なさそうにしているけど私も同じ事してたからそれでいい。

そう、気にしてないから。

休みの日に誰も遊びに誘いに来なくて親が疑問に思っても、ケンカしたからと少しだけ嘘をついて一日中好きな絵を描いて楽しく過ごした。

そう、気にしてないから。

私は気にしてない。

私は気にしてない。

気にしてないフリ。

ただの強がりだ。

部屋でひとりで泣いた。

B美

家にB美がこっそり訪ねてきた。

私と同じように、無視してごめんねと謝ってきた。

どうして無視するんだ、なんて事は今回はB美には言えない。

私もした事だし、B美はされた側だからだ。

それにもしB美がA子の前で私に話しかけたら、おそらく次にまたシカトされるのはB美だ。

一度その恐怖を味わっているB美なだけに、もうA子に刃向かう事なんてできないはず。


「大丈夫、気にしてないから」


そう言って作り笑顔でB美を見送った。

休みが明けて、学校では引き続き行われているシカト。

私も引き続き、しぶとくピエロを演じていた。

それがまたA子の気に障ったのだろう。

A子は私に聞こえるように、私の悪口を言い始めた。


「ほんと性格悪いよねー」

「昨日も同じ服着てなかったっけ?」

「なんかこっち見て笑ってるんだけど!キモくなーい?」


グループの他の子らは頷きながらクスクス笑うだけ。

もちろんそこにはB美も含まれる。

私は大丈夫だよ、と心の中でB美に話しかけていた。

洗脳2

しばらくは意地だけで頑張っていた私も、もはや限界だった。

グループ以外の子とは普通に話すけど、その子達も以前と比べて明らかに態度がおかしい。

A子の支配がじわじわと他の子にも広がってきたのだと悟った。

そこで新たな情報を仕入れようと頼ったのが例のCちゃん。

グループ内でB美の次に仲の良かった子だ。(※前編の「洗脳」に登場)

帰宅して晩飯を済ませ、家族がテレビを観ている隙にこっそり電話した。


Cちゃん「・・・何?」

私「あ、あのさ、なんかみんな怒ってる?」


すっとぼけた質問をする私。


Cちゃん「・・・・・」

私「私、なんか怒らせるような事した?」

Cちゃん「・・・A子の悪口言って無視したんでしょ?」


それを聞いて愕然とした。

そんな事、今まで一度たりともした事なんてない。

A子が私をシカトするのに都合よくでっち上げた嘘だった。

それを完全に信じているCちゃん。

またしても洗脳だ。


私「そんな事するわけないじゃん!A子が嘘ついてるんだよ!」

Cちゃん「・・・え?でもそう言ってたよ?B美の事で話した時に言われたって」

私「それは、B美を無視するのはかわいそうだよって言っただけだよ。これって悪口なの?」

Cちゃん「・・・でも、怒ってるって事はA子はそう思ってるんじゃない?」


ああ、ダメだ。

これ以上Cちゃんと話しても無駄だと思った。

A子に完全にコントロールされている。


私「じゃあさ、私はどうしたらいいの?」

Cちゃん「・・・A子に謝ればいいと思う」


そうか。やはりそうなるのか。

今まで耐えてきた事がバカみたいに思えて、私の中の何かがポッキリと折れた。

謝罪2

次の日、私はB美と同じように泣きながらA子に謝った。

申し訳なさや悲しさではなく、悔しさの涙だ。

どうして私が謝らなければならないのか、全く意味がわからなかった。


A子「もういいって。なんか私が悪者みたいじゃん」


ふてくされたような表情で吐いた言葉。

「悪者みたい」ではなく、あんたは「悪者」じゃないか。

A子に謝りながら、心の中で私はそう呟いていた。


その後、何事もなかったようにまたグループで遊ぶようになったが、私のA子への嫌悪感は消えなかった。

B美と私のように連続でのシカトは無かったけれど、小規模な無視などはA子の気分次第で発生していたからだ。

正直もうウンザリだった。

いっそ死んでくれたらいいのに。

そう思った事は一度だけではない。

それほどA子が嫌いだった。

それでも今更そのグループを抜けるのもまたシカトされそうだし、グループからリーダーのA子を追い出す事もきっとできない。

私はいつもどおり表面上はヘラヘラしていたが、学校に行く事がしんどくなってきていた。

しかし、しばらくして中学2年生になった時、グループ内でリーダーとしてのプライドを大いに傷つける出来事が起こる。

恋愛事変である。

彼氏

小学生の頃から「〇〇くんが好き」だの「今日〇〇くんと話した」だのグループ内でキャッキャ言って話してはいたけれど、交際するに至った子はいなかった。

しかし中学2年になって事態は急変する。

まずは同じグループではないが仲が良かった幼馴染、D美が3年の先輩に告白されて付き合う事になった。

そしてすぐ次に、なんとD美と付き合った先輩の友達から告白されたのがまさかの私。

この時私は生まれて初めて告白されたのだが、失礼ながら全くタイプでは無かったので丁重にお断りする事に。。アーメン。

この先輩には申し訳なかったのだが、私には既に他に気になる先輩がいたのだ。

人に告白されて調子に乗った私はその勢いで、それから1週間も経たずに気になっていた先輩に告白。

我ながら凄まじい行動力である。

ラッキーな事に彼女がいなかったので(リサーチしとけ)、無事OKをもらい交際開始。

そこから私の周りでちょっとした告白ブームに。

B美とCちゃんもそれぞれ気になっていた先輩に告白し、なんと2人ともOK。

それ以降、D美と私、B美とCちゃんは先輩彼氏と一緒に帰るようになり、今まで一緒だったA子とは帰らなくなった。

ちなみにグループは私含めて6人だったのだが、そのうちの1人は男勝りで恋愛にまだ興味が無い子、もう1人はお嬢様系で可愛いけど高嶺の花っぽくて男子からすると告白する勇気が出ないタイプの子。

A子は人一倍恋愛に興味があるけれど、容姿に関してだけは自信が無かったように思う。

そして極めつけは、A子が小学生の頃から好きだった同級生の男子と、A子がかつて目の敵にして散々悪口を言ってバカにしていたクラスで一番可愛い女子が付き合った事。

友達は次々に彼氏を作り、自分がずっと好きだった人も一番嫌いな人に取られ、A子のプライドはズタズタにされたのだろう。

そのあたりから、徐々にA子との間に距離ができ始めた。

今まで不動だったA子の脅威が、だんだんと薄っすーくなっていくのを感じた。

卒業

先輩彼氏が中学を卒業すると同時にお別れした私。

先輩の前では泣いたけれども、別れてみて実はそこまで好きじゃなかったかもと思うくらい、初めての交際はあっさりしていた。

「憧れ=好き」と錯覚してしまうお年頃という事だ。

同時期に付き合った他の子も、既にみんな終了していた。

恋愛事変のおかげか、グループ内のA子の絶対的立場は弱まりつつあった。

グループで恋愛の話になると口数が少なくなるA子。

結局A子はその後、高校3年生で初の彼氏ができる事になるのだが。。

それから中学卒業まではシカトや悪口などもなく、以前と比べると平和に時が流れていった。

高校の進路では、残念な事に一番仲が良かったB美は少々頭が弱かったので同じ高校に入れず、離れ離れになってしまった。

A子やグループの子らは同じ高校だったが、私は当時将来目指すものも何もなかったのでA子と別の科を選び、クラスが同じにならないようにした。

高校でA子と縁を切りたかったのだ。

私は中学卒業と同時に、A子の支配からも卒業した。

後日

高校で新しい気の合う友達ができ、A子以外のグループの子達ともたまに話はするが遊ばなくなっていった。

高校生活は楽しく、友達とは毎日のように遊び、恋愛は自由に、勉強は疎かに(笑)、あっという間に3年が過ぎていった。

そんなある日のこと。

学校帰りに友達といつも通り私の家でダベろうとダラダラ歩いていたら、たまたまA子と会った。

その時にはグループの子らもA子から離れ、A子の脅威など微塵も感じられず、顔を合わせると軽く挨拶するくらいの関係になっていた。

A子と友達は面識があったので、なぜかその場の雰囲気でA子を家に誘った。


A子「うわーなんか懐かしいな・・・」


中学までは頻繁に家に遊びに来ていたからそうであろう。

今はそこまで親しくもない間柄でまず話のきっかけを作るにはこれだ。


私「最近どう?」


どう?の対象は、もちろん恋愛である。

JKだもの。


A子「実はさ・・・最近彼氏と別れて・・・」


衝撃の展開。

話を聞いていくと、A子は泣き出した。

高校で初めて付き合ってすごく好きだった彼氏に、つい最近振られたというのだ。

傷ついて、涙を流して、本音を打ち明ける。

振られたという事まで正直に。

そこにはもう、私の知っているA子はいなかった。

かつてのA子ならば考えられない行為だからだ。

こんな事は、プライドが許すはずないのに。

A子は、私の知らないところでいつの間にか普通の女の子に変身していたのだ。

私は驚きと同時に、私の中のA子のイメージが更新されたのを感じた。

A子に一体何が起こったのだろうか。

と一瞬思ったが、当時そこまで興味は無かった私であった。

A子

後になって知った事だが、実はA子の両親は早くに離婚していた。

おそらく転校してきた前後に。

当時、A子は古くて狭いアパートに母親と弟と暮らしていた。

私は友達の家庭環境など全く興味は無かったので、今までお父さんに一度も会ったことが無いのを疑問にも思わなかった。

ただ、いつもブランドの服を着て、ブランドで持ち物を揃え、流行りの遊び道具などはいち早く手に入れていたから単純にお金持ちの子だと思っていたので、お金持ちなのにどうして家はこんなに古くて狭いんだろうと違和感はあった。

今考えると、母親が娘に恥ずかしい思いはさせまいと必死で取り繕っていたのかな、とは思う。

母親のその期待に応えようと、A子も必死だったのだろう。

ただでさえ両親の離婚という、小学生には到底すぐに受け止めきれない現実があるのに、母親に過剰なプレッシャーをかけられる毎日。

A子は私の親を含め、先生などの大人達にはすこぶる評判が良かった。

なんでもできてしっかり者、身なりも上品で頭も良い。

母親の理想の娘を、大人達の前でだけ演じていた。

そんな毎日を送っていたら、どこかしらに綻びがでてくるものだ。

このストレスをどこかで発散させなければおかしくなる・・・

A子の場合は、それが「自分の思い通りにならないやつをシカトして、最終的には服従させる」事だったのでは。

・・・と、私は今になって思う。

もしこのような経緯で起こった事だったのならば、A子の家庭環境には確かに同情できる部分もある。

だけど、やられた方からするとそんな事知ったこっちゃない訳で。

現に私はあれからウン十年経つというのに、たまにふとあのシカト期間の事を思い出すのだから、これは長い間他人の心を蝕んでいるという事だ。

今でこそシカトやいじめなどされたとしても華麗にスルーしたり、嫌なら学校に行かなければ良いだけなどと思えるけれど、当時は学校や友達が私の社会の全てだったのだから。

何か私の記憶違いで、全面的に私が悪くてシカトされていたのならば本当に申し訳ない。

が、私以外の人も順番にターゲットにされていったので、シカトする理由なんてあってないようなものだったに違いない。

ただA子がその時に気に入らなかったから。

それだけ。

決別

先ほども書いたが、高校生の時に私の中のA子のイメージが更新された。

その時にもう全て忘れられると思ったのだけれど、実際はそう簡単ではなかったようだ。

けれど、この物語を書き進めていくと同時にA子がなぜあんな行動をしたのか興味が生まれ、勝手な考察ながらもA子に多少同情できるまでになった。

ここで当時私がA子に言えなかった事。

「こんなの、友達なんかじゃない」

そう、「友達」という枠に囚われて、本当の友達とは何なのか見えなくなってしまった。

一緒にいて自分がすごくしんどいならば、もうその人は友達じゃない。

言いたいことも気軽に言えないようならば、その人は友達じゃない。

常に気を遣って機嫌を損ねないような話ばかりするようなら、その人は友達じゃない。

最初の頃は確かに友達だったはずなのに。

もしかしたら私や周りの友達にもA子をそうさせてしまった要因はあるかもしれない。

A子のわがままを放置し、許してしまったから。

私たちがあのA子を作り出してしまったかもしれない。

そう思うとやりきれないけれど、可能性は無くもない。


だけど今回ここで私は決別するのだ。

当時の感情は全て吐き出してここに置いていく。

もう長いこと一緒にいたけど、いい加減お別れだ。


「A子、バイバイ」


もしかして最後まで読んでくれたのですか?

私の過去の亡霊の成仏にお付き合いさせちゃってなんかすいません。

ありがとうございました。


\私の半生詰め込みました/

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